株式会社ヤマゲン つくば工場
日本ノボパン工業株式会社 つくば工場

「木質廃材の原料化及び同木質廃材100%を原料とするパーティクルボードの製造」
(リサイクル100%と循環型社会の推進)

ヤマゲングループ
茨城県つくば市片田字浦割東499
(株)ヤマゲンつくば工場
茨城県つくば市上大島字神明1751-1
日本ノボパン工業(株)つくば工場

その他知事が特に優良と認める事業

1. 概要

日本ノボパン工業(株)本社工場(大阪府堺市)では昭和63年12月から本格的に廃木材を主原料としたパーティクルボード(以下「PB」という)製造を行ってきた企業です。大阪でのノウハウを活かし、平成9年10月からは日本ノボパン工業(株)つくば工場(以下「ノボパン」という)を稼動させています。(株)ヤマゲンは平成10年10月にノボパンへの原料供給を目的に(株)ヤマゲンつくば工場(以下「ヤマゲン」という)を設立しました。平成11年6月産業廃棄物処理業許可を取得し、平成15年11月には一般廃棄物処理業許可を取得することで、幅広い廃木材の受入を可能に致しました。ヤマゲンは受入れた廃木材等をチップ化した後、PB原料としてノボパンに供給し、ノボパンはPBを製造、販売しています。また、ノボパンでは販売先で発生した端材等をヤマゲンに搬入することによる再資源化を奨励することで、循環型社会推進に寄与しているところであります。


2. 施設(能力)
株式会社ヤマゲンつくば工場
敷地面積 13,223m2 (約4,000坪)
建屋面積 3,850m2 (約1,200坪)
施設の種類 破砕
処理能力 160トン/日
廃棄物の種類 木くず(特別管理産業廃棄物を除く)
日本ノボパン工業株式会社つくば工場
敷地面積 42,785m2 (約13,000坪)
建屋面積 15,263m2 (約4,600坪)
施設 パーティクルボード製造施設
(木屑ボイラー含む)
生産能力 10,000トン/月
発電機能力 990KW

3. 工程
工程
画像をクリックすると拡大します。

ヤマゲンでは、受け入れた廃木材等を破砕・異物除去・選別を行い、PB用チップ(Cチップ)、燃料用チップ、敷藁用、鉄くず、その他廃棄物に分別し、その他廃棄物以外は有価物として販売しています。内訳はPB用が85.0%、燃料用7.0%、敷藁6.8%、鉄くず0.9%、その他廃棄物0.3%(焼却・埋立処分)となっており、高い再資源化率を確保しています。また、ノボパンの広域認定制度で回収した廃材はヤマゲンで破砕し、チップ化した後、ノボパンに運ばれPBに再生されています。

ノボパンでは、ヤマゲンから搬入されたチップを粒度調整、異物除去、金属検知機を通す事を繰り返し行い、接着剤を添加して熱圧成型してPBを製造しています。


4. 特徴
  1. マテリアルリサイクル
    ノボパンの事業はマテリアルリサイクルそのものであって、その原料供給元となるヤマゲンは必然的に高いマテリアルリサイクル率を誇るところであります。
  2. 木質バイオマス発電
    ノボパンでは、場内に木くず焚きボイラーを設置しています。これはPBを製造する為に必要なエネルギーを調達するためであり、燃料はPBの原料に適さないチップを用いています。現在、一般的に設置されている木くず焚きボイラーは発電を主な目的としていますが、ノボパンの場合は発生する蒸気でチップの乾燥を行う事と、発生する熱でオイルを温めることによりプレスの熱源として利用することを主な目的としています。また、余剰の蒸気を利用した蒸気タービンによる発電で、工場内の使用電力の一部を賄い、無駄のないエネルギー利用を行っています。この施設で発電している電力量は、工場全使用量の27%(平成18年度実績)に相当します。
    PBを製造するには膨大な化石燃料などが必要ですが、このボイラーの設置により化石燃料の使用を抑えCO2削減にも寄与しています。
    燃料チップ使用量および発電実績
    年度 搬入量(トン) 発電量(kWh) 発電量/発電能力(%)
    平成16年度 15,593 6,525,900 79%
    平成17年度 18,529 7,475,300 90%
    平成18年度 22,953 7,792,400 94%
  3. 広域認定制度
    ノボパンでは、平成12年11月6日に広域再生利用処理者指定(指定番号46号)を業界に先駆け取得し、平成18年10月27日に広域認定制度(認定番号99号)へ更新しました。これにより、PBユーザーのリサイクルが多様化されただけでなく、帰り便を利用する事により物流面においてのCO2排出削減にも貢献しています。
    広域認定制度利用実績(つくば工場分)
    年度 受入れ実績(トン) 再資源化量(トン) 再資源化比率
    平成16年度 111 111 100%
    平成17年度 141 7,141,300 100%
    平成18年度 277 277 100%
  4. FReG<リサイクル保障付き家具>
    FReGとは、ヤマゲンのビジネスモデル特許(第3547051号)によるリサイクル家具の製造・販売のことで、家具を製造する段階から、将来の廃棄される場合を考慮しての原料・付属品・接着剤等の選定、加工方法の条件、更に使用者(購買者)の使用条件等をお互いに遵守する事により、将来の廃棄を保証(無償引取り)し、破砕・チップ化し再びボード用の原料として再生する制度です。


5. 再資源化効果
  1. 廃木材の有効活用

    ヤマゲンでは、平成18年度実績で約4万トンの木くずを処理し、処理した木くずの85.0%に当たる3万4千トンがノボパンでPBの原料として使用されています。残りの木くずの殆どがリサイクルされており、ヤマゲンでの再資源化率は99.7%に上ります。
    ノボパンでは平成18年度実績でCチップを約11万トン、燃料チップを約2万トン使用し、合計で13万トンの木くずを再生利用しています。ノボパンの使用チップのマテリアルリサイクル率は約85%であり、サーマルリサイクルと併せるとリサイクル率は100%になります。
    また、木質バイオマス発電においては、現在ほぼ施設の能力と同等の発電を行うようになり、無駄の無いエネルギー使用が実現されています。
    更に広域認定制度においては、基本契約事業者が増加しており、PBユーザーのリサイクルにも貢献しています。

  2. 地球温暖化への貢献
    ノボパンでは、株式会社あらたサスティナビリティにおいて「廃木材の利用におけるLCA的見地からのパーティクルボード評価」を依頼しました。その結果、PB1トンあたり、1.16トンのCO2が固定(削減効果)されているとの報告を受けております。
    ノボパンつくば工場の平成18年生産量が121,716トンであったことより、この評価値で計算すると、141,191トンのCO2の排出抑制をしていることになります。このCO2排出抑制量は、霞ヶ浦と同じ面積の森林(林齢40年カラマツで計算)吸収分に相当します。

6. 今後の課題
  1. 原料の安定確保の検討
    現在バイオマス発電施設の稼動が増加傾向にあり、マテリアルリサイクルが可能な木くずまでもが、サーマルリサイクルとして利用されています。マテリアルリサイクルを安定化させるためには、カスケード型のリサイクルシステムの構築が重要課題と思われます。
  2. 異物混入率の増加の対策
    異物混入率が増加傾向にあり、マテリアルリサイクル出来ないチップ(燃料として使用)が増えています。有効にマテリアルリサイクルする為には、現状の異物除去だけではなく、更なる分別精度を上げる方法等を検討し実行していく予定です。
  3. 未利用木材の活用方法の検討
    林地残材などの未利用木材が効率的に利用できる方法の確立が必要になります。
ページトップ