茨城県日立市日高町 5-1-1
日立電線株式会社 日高工場
「廃電線リサイクルシステムの構築と運用」
日立電線(株)日高工場は、日立電線が(株)日立製作所から分離独立した翌年の1957年に建設された工場で、各種電線・ケーブルの製造、光ファイバーケーブルを製造している。日立電線では、業界で最も早い1997年に日立地区の全工場でISO14001を取得するなど、環境との調和を経営の最優先課題の1つとして全社で取り組んでいる。日高工場でも従来から特定顧客や工場内で発生する電線屑を「銅」と「被覆材」に分別し、それぞれを有効にリサイクルする取り組みを行ってきた。
そして、2000年の循環型社会形成推進基本法の施行を機に、更にこの取り組みを拡大し、廃電線を全国規模で回収・リサイクルするビジネスモデルをグループ会社並びに協力会社と共同で構築し、同年6月よりこのビジネスモデルの運用を開始した。このシステムは、東京電力(株)殿や多くのサブコンなどの賛同と協力を得て着実に拡大展開しており、今後とも国内の廃電線リサイクル促進に大きな期待が寄せられている。
廃電線リサイクルシステムの機能フローを図1に示す。電線工事で発生の電線屑、施設解体に伴う撤去電線などの廃電線が、図2に示す専用の回収箱にまとめられる。回収箱の廃電線は、協力会社の國長金属(株)の全国回収ネットワークによって、有価で排出者から引き取られる。回収された廃電線は、剥離・ナゲット加工によって、導体の銅と被覆材のプラスチックに分別され、それぞれのリサイクル用途先に送られる。この中で銅は、再度電線の導体に再生される。そして、被覆材のプラスチックは、日立電線メクテック(株)で更に分別と精製の作業を行い、再生ペレットに加工されて、電線被覆材やその他の材料にマテリアルリサイクルされる。
図3にリサイクル処理のフローを示す。
回収された廃電線は、最初に電線の導体や被覆材の種類毎に分別が行われる。この分別作業が、一連の作業の中で特に大切な作業で、この分別の精度が後工程のリサイクルの質に大きく影響する。分別された電線は、次に導体と被覆材に解体される。太い電線は導体から被覆材を剥ぎ取る解体、細い電線は導体と被覆材を一緒に粉砕するナゲット加工を行った後に、材料の比重差を利用した比重分別機で導体と被覆材に分離される。分離されたナゲット被覆材は、材料の帯電差を利用する静電分別装置(図4参照)で、更に精度の高い選別を行い、被覆材中に混入した異なる材料が取り除かれる。そして精製と押出し工程を経て再生ペレットが造られる。
本システムを採用の廃電線排出者には、廃電線からの対価が得られる有形の恩恵の他に、次のような無形効果も得られる。