水海道産業株式会社石下工場
ガラスくずの加工及びリサイクル製品の有効活用について

その他知事が特に優良と認める事業部門

茨城県結城郡石下町大字左平太新田字堤下991
水海道産業株式会社石下工場
「ガラスくずの加工及びリサイクル製品の有効活用について」


1. 事業概要

弊社は昭和16年古矢砂利店を創業し、水海道市を流れる鬼怒川から砂利・砂の採取販売をはじめました。昭和35年、水海道産業株式会社に改組し昭和54年から廃棄物処理部門を新設、埋め立て処分場を中心に事業展開し、平成15年2月石下工場で一般廃棄物及び産業廃棄物のガラスくずの処分許可を取得し、原点に戻るように「砂」の製造販売を開始しました。砂採取業と廃棄物処理業を融合させた事業です。

石下工場石下工場概要
  • 工場敷地面積:3,101m2
  • 建物面積:892m2
  • 緑地面積:990m2
  • 処理能力:11.76 t/日
  • 作業員数:4名
  • 消費電力:2,800kwh/月(平均)
  • 使用水量:12m3/月(平均)

2. 再資源化の取組みの内容

ガラスに再生できないガラスくずの多くは埋め立て処分されています。しかし天然資源である「珪砂」を主成分とするガラスを安全な「砂」として再利用するためにはどうしたらよいか。また製造された製品をどのような技術を用いて活用するか。国内で極端に不足し、輸入に頼る「砂」をガラスくずで補い「安全」に流通させるにはどうしたらよいか。アスファルト舗装をはじめインターロッキングブロック、平板タイルなどいろいろな製品にガラスくずから作った「砂」を混ぜ合わせた、いわゆる環境配慮型製品を多く見かけるようになり、エコマーク認定商品も増えてきているところで、このガラスくずから作った「砂」の物理的、化学的安全性を研究しひとつの定義を確立し品質管理基準としました。


3. 再資源化効果
(1)廃棄物の減量化効果
ガラスくずを、破砕、粒度調整することによりそのすべてを利用することが可能であり、埋め立て処分を行う必要がなくなります。
(2)省資源・省エネルギー効果
現在多く使われているのがアスファルト舗装用骨材などの土木用資材です。つまり天然の砂や砕石の代替利用であり、これら採取の抑制になります。さらに、製造の基本的な原理が「ガラス同士のぶつかり合い」のため、エネルギーコストが非常に抑えられています。
(3)環境保全効果
まず第1に埋め立て処分をなくすことができます。さらに、天然砂や砕石の採取を抑制できるため、採取のための地形変化を防ぐことができ、このことにより洪水などの自然災害や環境破壊を防止することが期待できます。
(4)波及効果
当該再資源化事業が普及することにより、ガラスくずの埋め立て処分がなくなります。さらに、土木建築など公共性の物に多く使われることからリサイクル推進の啓蒙につながり、また、例えばアスファルト舗装のように「輝く」作用により交通安全に効果を発揮したり、近年問題視されてきた街路灯による「光害」を抑制することにより、さまざまな自然環境の復活を期待できます。

4. 回収から出荷までの流れ

あきびんや建築廃材のガラスくずは分類上、産業廃棄物になったり、一般廃棄物や、もっぱら再生物、容器包装物になったりとても複雑です。当工場は産業廃棄物及び一般廃棄物の処分業許可を取得、また日本容器包装リサイクル協会の再商品化事業認可工場、さらに古物商の許可を取得しており、さまざまな排出形態に対応できるようになっています。
製造された製品は「クリスタルストーン」「クリスタルサンド」と称し、バラ、フレコン、20kg袋入りと用途に応じた出荷体制をとることができます。


5. 製造方法

ガラスくずの有効活用のための破砕には、破砕機の磨耗が問題とされていましたが、当社は従来鋼鉄製のところを、高硬度セラミックを用いて、これを解決、ランニングコストを迎え、また使用電力も平成15年12月の実績で2,863kwh/月(照明を含む)使用水量が12m3h/月(生活水を含む)と非常に少ないエネルギーでリサイクルを行っています。


6. 品質管理
a. 物理的要件

ガラスびんの破砕及び加工については、破砕機の磨耗対策が大きな問題となり、さらに製品であるガラスカレット粒子の鋭い形状が、取り扱い上の問題になっていました。そのうえ、粒子の角が少なくなりすぎると、流動性がよくなりすぎアスファルト舗装するときなどの転圧がうまくいかなかったり、強度の低下が生じたりするなどの障害も発生するため、適度な粒子形状を作り上げることが重要なポイントです。下の表は画像解析による円径度と長短径比の測定結果です。


円径度:製品がどれだけ円に近いかを現しており、数値が1になれば完全な円になります。
長短径比:製品の縦・横の比率を現しており、数値が1になれば円になります。

このデータをもとに、円径度及び長短径比がそれぞれ0.6以上であることが砕石と同等であるとし、基準値としました。

b. 化学的要件

ガラスくずが建設資材として活用されるためには、環境安全性が確保されなければならなりません。すなわち、有害物質の溶出が環境基準値以下でなければなりません。当社ではもっとも厳しい土壌環境基準を判定基準とし検査しました。

これらは日常の中で目視検査を行い、1年に1回は解析及び分析して品質管理データとすることとしました。


7. まとめ

ガラスくずを再資源化し活用するには、その用途に応じた知識で作業しなければなりません。天然砂の代替といっても「海砂」に近いことから、コンクリートへの利用にあたっては、アルカリ骨材反応があるためこれを抑制する対策を講じる必要があります。もちろんアスファルト舗装にも樹脂舗装にも、路盤材にもその他製品にも個々に基準があるので、その原料にガラスカレットを混入させた場合のリスクをあらかじめ知り対策を講じておかなければならないのです。そして、これら情報を全国共通のデータとすることにより、安全な製品が市場に出回り、ガラスくずの「砂」が一般的になることに努力したいと考えております。

その他

平成12年5月、同様の技術を持つ全国13社が集まり通商産業省(現経済産業省)より廃ガラスリサイクル事業協同組合の認可をいただき、現在は北海道から沖縄までの20社になり、各地で盛んに活動しています。また、このガラスくずから作った「砂」は(財)日本環境協会よりエコマークを認証しており、その製品名を「クリスタルストーン」「クリスタルサンド」と登録しております。さらに環境省、国土交通省、経済産業省のグリーン購入法特定調達品目についても「候補群」(ロングリスト)に掲載されております。

ページトップ