株式会社ツムラ 茨城工場
当工場のリサイクルに対する取り組み

リサイクル100事業所部門

稲敷郡阿見町吉原3586
株式会社ツムラ 茨城工場
[日本標準産業分類番号 F2064]
「当工場のリサイクルに対する取り組み」


1. 事業所概要

当社は1893年のの創業以来、漢方を科学する医薬品メーカーとして、独自の路線を歩んで きました。中将姫が伝えたとされる婦人薬「中将湯」に始まり、中将湯を錠剤化した「ラムール」、入浴剤「バスクリン」等、数々のヒット商品を世に送り出しています。また、1976年に当社の医療用漢方製剤が初めて薬価基準に収載されてからは、”漢方のツムラ”として脚光を浴び、医療用漢方製剤の売り上げ大幅に増加させてきました。これらの製 品には、いずれも「自然と健康を科学する」という当社の経営理念が反映されています。茨城工場がある阿見町は、茨城県の南部に位置し日本第2位の湖あでる霞ヶ浦に面し、北西に筑波山を望む豊かな自然に恵まれた地域であります。また交通の便では、東京から60km圏内にあり、国道6号線を始め、JR常磐線荒川沖駅、常磐自動車道桜土浦ICなど、アクセス ポイントも至近にあります。このような周辺環境の中、1981年に福田工業団地の完成に合わせてそれまでの静岡工 場(静岡県藤枝市)一工場体制から、東の生産拠点として世界最大規模の漢方製剤製造工場の建設を開始し、1983年に竣工しました。

設立年月 1983年10月
敷地面積 178,344m2
建築面積 32,683m2
主な生産品目 医療用漢方製剤
従業員数 312人

竣工以来、環境問題には積極的に取り組み、 2000年6月5日「茨城県知事賞 地球にやさしい企業 省エネ部門」を受賞とするとともに、2001年5月にはISO14001の認証を取得しました。また、2001年10月25日には「リサイクル推進功労者 厚生労働大臣賞」を受賞しました。


2. 再資源化への取り組み
(1)背景・経緯

工場内に横断的な組織として、1997年1月に環境管理委員会を設置しました。2000年に、環境管理委員会の組織改正を行い、専門部会(省資源部会、教育・広報部会、省エネ部会、公害防止部会)を設置し、2001年には、恒常的、積極的な活動を行う環境管理課を設立しました。

当工場から排出する主な産業廃棄物は、以下のとおりです。

  1. 動植物性残渣 製造工程から発生する生薬残渣
  2. 汚泥 排水処理施設から発生する汚泥
  3. 廃プラスチック類 包装工程から発生する分包アルミフィルム

特に漢方製剤の製造に伴って排出される生薬残渣(動植物性残渣)は、年間約4,500tで、工場の年間産業廃棄物量の80%を占めています。環境負荷の低減や企業の社会的責任の観点から、この動植物性残渣の適性処理、活用に積極的に取り組み、発酵処理をして「堆肥化」することが最良のリサイクルであると判断しました。1993年10月に江戸崎センター(堆肥化施設)を竣工し、技術的な問題を解決し、1995年10月より堆肥化した製品である「ツムランド」の出荷を開始しました。さらに、ISO14001を認証取得し、従業員へのリサイクル意識の向上を図り、より高い目標の設定とともに継続的に産業廃棄物のリサイクル100%を目指しています。

(2)廃棄物の再資源化事業の実施内容
1. 取組内容
「リサイクル100」を達成するには、工場の年間産業廃棄物量の80%を占める動植物性残渣の100%堆肥化に加え、廃棄物の適正な分別回収の徹底が基本となります。2000年に分別基準を作成し、31種類に分別をするようにしました。これを全従業員及び構内関係会社従業員に対して教育し、徹底しています。
2. 再資源化
表-1に生産工程から排出する産業廃棄物とその処理方法を示します。特に量の多い・生薬残渣(動植物性残渣)は自社及び処理業者による堆肥化、・排水汚泥はセメント原燃料、・分包アルミフィルムは高炉原料として利用しています。
表-1
3. 再資源化率
表-2に産業廃棄物の量と再資源化率の推移を示します。産業廃棄物の量は'95年6,000t近くありましたが、生産数量の変化もあり、'01年には4,000t程度まで減少させ、再資源率は、ほぼ100%を達成する予定です。
表-2

3. 自社施設での取り組み(生薬残渣の堆肥化)

自社開発のプラントで生薬残渣に好気的高温醗酵を繰り返し、熟成させ、堆肥化した製品が「ツムランド」です。生薬残渣100%を原料としており、他の化学物質、種菌等は一切使用しない完全な有機物のみで製造した堆肥です。生産フローの概要を下図に示します。自社内にて処理をすることは、産業廃棄物の最終埋立処分量を大幅に削減、ひいては環境への負荷の低減に結びつきます。企業の社会的責任を果たすため、自社の堆肥化設備を設置し処理に取り組んでいます。またツムラでは、この事業を生産から販売まで一貫して自社で取り組んでいます。堆肥化施設の設置に当たっては、近隣住民との協調を図るために、脱臭機等の環境施設を取り付け、稼動後も定期的に意見交換を行っています。自社処理能力を超える生薬残渣についても、外部処理業者に全量堆肥化処理を委託し、工場より排出される生薬残渣については100%リサイクルしています。


4. 今後の課題・構想

環境マネンジメントシステムの維持・管理はもちろんのこと、継続的改善による管理レベルの向上を図ります。それとともに、産業廃棄物の再資源化をする一方で、リサイクルの質的向上を推進し、サーマルリサイクルからマテリアルリサイクルへの移行を検討していきます。「自然と健康を科学する」を経営理念としている当社は、これからも人と社会にやさしい製品つくりを心がけ、環境への負荷低減と人々の健康に貢献していきたいと考えています。

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